樹木の大きさと植生
ミャンマーチークの大きいものでは高さ45m、胴回り3.7mになります。ミャンマー国内では、海抜920m以下の低い丘から平地にかけて、混成落葉樹林体で群生しているケースが殆どです。
ミャンマーチークの人気が高い理由
ミャンマー産チークが世界的にも人気が高い理由は、資源保護上ゆっくり且つしっかり成長したチークを選別しているので、品質の狂いが少なく寸法安定性・耐久性に優れているからです。また、ミャンマーの恵まれた天候や土壌が優れた色合い・天然オイル成分をしっかりと含んだチークを産み出すからです。天然のオイル成分は気品のある艶に経年変化し、オリエント急行やクイーンエリザベス号など世界中のラグジュアリーな空間にミャンマーチーク材が採用されてきました。
メンテナンスが楽チンな無垢フローリング
天然オイル成分が豊富で、耐水性があるので、ミャンマーチーク材はヨットのデッキや浴槽の内装材にも使うことができます。そのため、水拭きNGが多い無垢材の中、チーク材は水拭きが可能で日頃のメンテナンスに気を使わなくて済みます。また、無塗装の場合はオリーブオイルの無添加石鹸で「ソープフィニッシュ」というメンテナンスが可能で、無塗装品の自然な風合いの残しながらお手入れすることができます。
天然チークと植林チーク
天然チークと植林のチークならびに「巻き枯らし」を行ったものとそうでないものの収縮率及び比重のデータを以下に示しております。比重は生材から全乾まで行った際のもので、収縮率もそれにともなって変化した率を表しています。
下記の表1からフィリピン産を除き、チークはどこで生育した場合でも比重は変わりませんが、ミャンマー産の方が他国産に比べて収縮率が低いのです。ミャンマー産は成長がゆっくりで目が詰まっているので、収縮が少ないのがお分かりいただけると思います。
産地 | 状態 | 全乾比重 | 収縮率%: 生材から全乾時 | |
---|---|---|---|---|
柾目 | 板目 | |||
ミャンマー | 天然・巻き枯らしなし | 0.586 | 2.1 | 3 |
ミャンマー | 天然・巻き枯らしあり | 0.594 | 2.2 | 3 |
Malabar (インド) | 天然 | 0.614* | 2.5 | 6 |
C. Provinces (インド) | 天然 | 0.526* | 2.2 | 4 |
Bihar & Orissa (インド) | 天然 | 0.536 | 1.8 | 4 |
Angul (インド) | 天然 | 0.609 | 2.6 | 4 |
Hoshangabad (インド) | 天然 | 0.554 | 2.3 | 4 |
C. Puri (インド) | 天然 | 0.580 | 1.8 | 4 |
ホンジュラス (a) | 植林 | 0.560 | 2.1 | 5 |
フィリピン (a) | 植林 | 0.490 | 2.2 | 4 |
タイランド(b) | 植林 | 0.640 | 2.5 | 5 |
インドネシア (b) | 植林 | 0.646 | 0-2 | 0-3.5 |
ナイジェリア(c) | 植林 | 0.509 | 0-3 | 0-5 |
パプアニューギニア(c) | 植林 | 0.509 | 2.1-3 | 3.6-5 |
南アフリカ(c) | 植林 | 0.646 | 2.1-3 | 3.6-5 |
Oven dry volume basis. (a) = Wiemann, (b) = Sono P., (c) = Keating and Bolzo
巻き枯らしとは
巻き枯らしとは、根からの養分を運ぶ辺材部分を削り取り、含水率やヤニの調整を行うことです。ミャンマーでは、この「巻き枯らし」を行うのが一般的で、立ち木のまま約3年放置します。そうする事で、水に浮くことができるようになり、筏を組んで大河を下ってくる事ができるのです。一方、巻き枯らしは人口乾燥時における時間短縮・歩留まりの改善につながります。ちなみに、巻き枯らし後27ヶ月経ったチークは33.6%の含水率残っていると言われております。(Sweet, 1922年)
しかしながら、この状態では繊維飽和点(30%)より高いので、まだ乾燥が必要な状態です。
巻き枯らしを行ったチーク
巻き枯らしを行ったチークは強い傾向があります。Pierson(1913)とBrown(1932)は巻き枯らし の効果について、表2・表3の研究を行いました。
結果、「巻き枯らし」を行った天然ミャンマーチークが風合い・強度・安定性に最も優れていることがわかります。さらに、天然チークはオイル成分を多く含有し色味が濃い傾向があります。この特性は高い保存性の特徴となり、それが世界中の方々から好まれるのです。
産地 | 曲げ強度 (psi) | |
---|---|---|
巻き枯らしを 行っていないもの |
巻き枯らし | |
ZigonForest Division | 16,397 | 17,404 |
TharyawaddyForest Division | 11,580 | 11,670 |
巻き枯らし の有無 |
含水 | 比重 | 曲げ強度(psi) | 木目方向への 圧縮(psi) |
木目方向への せん断 |
剛性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(%) | (lb/cft) | FS @PL |
MOR | MOE ×1000 |
FS@ PL |
Max. crush |
(psi) | End (lb) |
Side (lb) |
|
有り | 14.0 | 43 | 9145 | 14965 | 1913 | 5345 | 8525 | 1355 | 1225 | 1240 |
無し | 14.1 | 40 | 9425 | 14465 | 1830 | 5385 | 8350 | 1140 | 975 | 860 |
Note: M.C = Moisture content; FS @ PL = Fiber Stress at the Proportion Limits; MOR = Modulus of rupture; MOE = Modulus of emphasized.
ミャンマー森林省が管理する正規ルートの合法材は、この巻き枯らしを行っており製材後の寸法安定性や強度が安定しております。 一方、国境近辺で行われる違法伐採や密貿易のチーク材は、闇夜に乗じて一夜で伐採するので、こうした巻き枯らしは行われておりません。したがって、これらは製材後に酷い狂いが生じる恐れがあります。